自分の心と向き合うとき、意外と見落とされがちなのが「食事」のこと。 といっても、「カロリーが〜」とか「太るから〜」という、ちょっと窮屈な話ではありません。もう少し奥にある「食事の質」についてです。
実は私、かれこれ5年ほど、家の油は「牛脂」「生のバター」「オリーブオイル」「(たまに)ごま油」だけで回しています。
「え、意識高い系?」と思われるかもしれませんが、全然そんなことはありません。
むしろ、昔の私は「植物性=ヘルシー」という言葉を信じ切って、安価なサラダ油をドバドバ使っては、謎の体調不良やメンタルのザワつきを「自分の性格のせい」にして自分を責めていた……そんな痛い失敗を繰り返してきた一人なんです。
今日は、そんな私の「ボヤ騒ぎ(慢性炎症)」を鎮火してくれた、油の裏側にあるお話をさせてください。
サラダ油の裏側のお話

1. 「ヘルシー」という言葉に隠されたボヤ騒ぎ
日本では、サラダ油やキャノーラ油は「ヘルシーな植物性」として親しまれていますね。冷えてもサラサラ、匂いもなくて使いやすい。
でも、その「使いやすさ」を作るために、実は油たちは精製過程でかなりのダメージを受けています。
特に問題なのが、オメガ6(リノール酸)の増加量です。現代の日本人は、炎症を抑えるオメガ3とのバランスが理想(2:1 から4:1)から大きくかけ離れた「50:1」なんていう異常事態になることも。 これ、体の中でずっと「小さな火事(慢性炎症)」が起き続けているような状態なんです。お腹が張ったり、心がモヤモヤしたりするのは、あなたが弱いからじゃなく、体の中でボヤ騒ぎが起きているせいかもしれません。
2. 脳と細胞を「内側から溶かす」暴れん坊、HNEとは?
油を高温で加工する時に生まれる、「4-ヒドロキシ-2-ノネナール(HNE)」。 呪文のような名前ですが、こいつがなかなかの暴れん坊です。
最新の研究では、このHNEが細胞のリサイクル工場を壊して、細胞を「内側から溶かす」ように死滅させてしまうことがわかっています。 お腹の細胞や、記憶や感情を司る脳の細胞でこれが起きていたら……。
- 「なんだか最近忘れっぽい」
- 「食欲が止まらない」
- 「感情の波が大きい」
これらは、あなたの意志の力不足ではなく、油による「脳の火傷」のようなものが原因かもしません。

3. 黄金色の裏側にある「精製の代償」
スーパーに並ぶきれいな黄金色の油。その裏側を覗くと、実は「ヘキサン」という石油系の溶剤でギチギチに油を絞り出したり、200度以上の熱で無理やり匂いを消したりしています。
本来「食べ物」であるはずの油が、劇薬や高熱で満身創痍になって手元に届く。 「植物性だからトランス脂肪酸ゼロ」と思いきや、高温処理の過程でひっそり生まれていたりもします。
今日からできる脂質の選び方
「何を食べるか」と同じくらい、「何を避けるか」は大事です。
「よし、油を変えてみよう」と思ったあなたへ。 スーパーの棚の前で迷わないための、具体的で合理的な3つのステップを提案します。
1.「飽和脂肪酸」を味方につける(牛脂・グラスフェッドバター)
植物性=ヘルシーという目隠しを外すと、実は「飽和脂肪酸(動物性脂質)」の安定感に驚かされます。
グラスフェッドバターや牛脂を選ぶ: これらは熱に強く、酸化しにくいのが最大の特徴です。特におすすめは、牧草だけで育った牛の「グラスフェッドバター」。オメガ3とオメガ6のバランスが理想的で、脳や細胞の炎症を抑えるサポートをしてくれます。 「動物性は太る」という古い常識を捨てて、細胞の膜を丈夫にする「質の良い材料」として選んでみてください。
2. ラベルの「裏側」と仲良くなる:
原材料名に「植物油脂」「加工油脂」「ショートニング」とあるものは、身体のリズムを乱すサインかもしれません。
3.「色の暗い瓶」に入っている油を選ぶ
繊細な油(オリーブオイルなど)を選ぶときは、中身の見える透明なボトルではなく、「色の濃い遮光瓶」に入っているものを選びましょう。油にとって、光は毒と同じ。スーパーの蛍光灯にさらされているだけで、中身はどんどん酸化し、先ほどお話しした「暴れん坊(HNE)」を生み出してしまいます。黒や濃い緑の瓶は、油の鮮度とあなたの健康を守るための、最低限のバリアです。
おまけ. 完璧主義を手放す
全てを一片に排除しようとするのはかえってストレスを生み、心の調和を乱してしまいます。「できるだけ、細胞が喜ぶほうを選ぶ」という心地よく、失敗できないくらいの小さな選択を積み重ねていきましょう!
知性を持って、愛を選ぶ
こうして裏側を知ると、少し怖くなるかもしれません。でも、これは自分を怖がらせるための知識ではなく、自分を責めるのをやめるための「道しるべ」です。
「なぜかこの油の料理を食べると、お腹が重いな」 「なんだか心がザワつくな」
その違和感は正しかったんです。私たちの体がこれらの化学成分や毒素に、懸命に反応して私たちを守ろうとしてくれていたんですね。
「安いから」「便利だから」という基準をちょっと横に置いて、「自分の体が喜ぶもの」を勇気を持って選んでみる。それは、かつて自分が欲しかった愛を、自分自身に与えてあげる大切な一歩になります。
とはいえ、絶対に食べちゃいけないって白黒つけるのではなく、「これはなるべく控えよう」ってグレーでOK。私も、たまに大豆油なんかで揚げてあるパリッパリで美味しい春巻きを口いっぱいに頬張る時もあります。
体の仕組みを知った上で食事を選ぶのと、「知らなかった」で選ぶのでは、大きな違いがありますね。若いから平気、医者知らずな遺伝だから、と健康は忘れられがちですが、こうして少しずつ自分の体のためを思って探ってみると、人生の舵が自分に戻ってきた感覚があります。 不可能だと思っていた「へっちゃら」な毎日は、実はキッチンの油を変えるところ、そんな小さな行動から始まっていたりするのです。
飾らず、賢く、温かく。
今日も人生の善し悪しを楽しみながら、少しずつ自分を愛する選択をしていきましょうね。
今回も最後まで読んでくれて、ありがとう☺︎

【もっと詳しく知りたい方へ(参考文献)】
私が今回の記事を書く際に参考にしたり、ワクワクしながら読んだ研究データです。
■ 油脂の精製プロセスと安全性について
ヘキサン抽出と油脂の安全性評価
Safety evaluation of hexane as a food solvent. (FASEB Journal)
石油系溶剤を用いた抽出工程のリスク評価に関する知見です。
精製工程(脱臭)におけるトランス脂肪酸と酸化物質の生成
Formation of trans fatty acids during the refining process of edible oils. (Journal of the American Oil Chemists’ Society)
スーパーに並ぶ黄金色の油が、200度以上の高温処理で受けるダメージを裏付けています。
■ 細胞と脳への影響(神経毒性と認知機能)
HNEによるリソソーム膜の破壊と細胞死のメカニズム
Lysosomal membrane permeabilization induced by 4-hydroxynonenal. (Biochemical and Biophysical Research Communications)
Lipid peroxidation product 4-hydroxy-2-nonenal (HNE) and its role in human diseases. (Scientific Reports)
加熱したサラダ油から発生するHNEが、細胞のリサイクル工場を壊し、細胞を「内側から溶かす」仕組みを解説しています。
キャノーラ油の摂取と記憶力・認知機能低下の関係
Effect of canola oil consumption on memory, synapse and neuropathology in the 3xTg-AD mouse model of Alzheimer’s disease. (Temple University / Scientific Reports, 2017)
脳の神経回路(シナプス)への影響と、学習能力の低下についての衝撃的な報告です。
■ 身体の調和と食欲のコントロール
オメガ6とオメガ3の摂取比率と炎症性疾患
The importance of the ratio of omega-6/omega-3 essential fatty acids. (Simopoulos AP., 2002)
現代食における脂肪酸バランスの崩れが、心血管疾患や炎症性疾患のリスクを高めることを指摘しています。
脳の視床下部における炎症と食欲コントロールの崩壊
Hypothalamic inflammation and food intake control. (Frontiers in Neuroscience)
質の悪い油脂が脳の神経細胞に炎症を引き起こし、過食を誘発する機序に関する研究報告です。
■ 質の高い脂質の優位性
グラスフェッド(牧草飼育)乳製品の栄養組成について
Composition of fat from cows fed on pasture or grain. (Journal of Dairy Science, 2019)
牧草飼育の牛から採れる脂質が、脳の炎症を抑えるオメガ3を豊富に含むことを証明しています。
光と熱による植物油の酸化安定性の変化
Effect of light on the oxidative stability of vegetable oils. (JAOCS)
遮光瓶が油の鮮度と健康を守るためにいかに重要かを示しています。


